忍者ブログ
とびうお

2024.11.22 Fri 「 [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2008.06.07 Sat 「 お人よし-中編-結界師
『お人よし-中編-』
火黒×良守

ちょっとBL要素があるので、ご注意を。

-----


『良守!』


そう、呼ばれた気がした。


「・・・っは・・」

体の隅々から体温が逃げて行くのが分かる。

「さっきの刃には毒があったみたいだな・・・」

良守が着ている着物の襟を引いて首を見る。
短いが、確かに刃による傷がそこにあった。
試しに指で触ってみると、焼け付くような感触が人皮を通して感じられた。

「おい」
「・・・か、ぐろ・・・?」

うっすらと目を開けてこちらを見る良守に、火黒はほっとした。
意識がある分、まだ助かる予知はある。

「君、無理してたんだね」

足とか疲労困憊みたいだし、と付け加えると、良守はバツが悪そうに視線を外した。

「ちょっと、油断・・・してただけ」
「しんどいのに、俺に見せてくれたんだ」
「別に・・・そういう、訳じゃない」
「ふーん・・・ところでさ、君、今の状態って分かる?」

良守は荒い息をつきながら頷く。
そして火黒にへらっと笑いかけた。

「俺を殺す、絶好の機会・・だな」
「・・・正統継承者が、随分弱気なこと言うね」

火黒は苦笑して、もう一度傷を見た。




今出来ること。

一つ、このまま彼をこの場に置き去る。

一つ、彼の望むままにここで殺す。

一つ、適当な妖を連れてきてしまう。




「ねぇ。今日体を張って見せてくれたお礼をさせてよ」
「・・・は?」

火黒は良守の首筋に指を当てた。
触れたせいで傷が痛み、良守は火黒の腕の中で飛び跳ねる。

「この毒、抜いてあげる」
「っは・・・何、言って・・・?」
「君がこの地に選ばれているのなら、なお更君は生きなくちゃ。」

火黒は片手で彼の体を支え、もう片方の手で傷に触れ、彼の血を付着させた。
そしてそれを口に含む。
一瞬考え込み、

「ちょっと危ないね。ごめんだけど、少し手荒な方法で抜くよ」

痛くても我慢してと耳元で言い、火黒は良守の首にある傷口に自分の口を覆った。

「・・・っあ!」

首に走る鋭い痛み。
血を吸われてると、良守は直感的に悟った。
痛みと共に、得体の知れない何かが同時に良守の中に走る。

「ひ・・・つ!」

ある程度血を吸うと、火黒はグラウンドに血を吐き捨て、再び首に帰る。
たまに吸った血を飲み込んで毒の濃度を測る。

それを幾度か繰り返した。








***








「・・・ふう・・・・」

火黒はようやくその動きを止めた。
最後に吸い取った血をそのまま飲み込む。

「・・うん、これで峠は越えたね」

口元にべったりと付いた良守の血を、スーツで拭う。
良守を見ると、彼は火黒に寄りかかって意識をなくしていた。

辛かったのだろう。
火黒の黒いスーツをぎゅっと握り締めている。

「良く、頑張ったな」

規則正しい寝息を立てる良守の額に軽く口付け、立ち上がった。
そして彼を抱いたまま、学校の門を飛び越えた。



+++
今回一番書きたかったのは、火黒が良守を治療してるところです(笑)
2007.8.17
PR
COMMENTS
SUBJECT
NAME
EMAIL
URL
編集用パスワード
COMMENTVodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

TRACKBACKS
トラックバックURL
カウンターとweb拍手
キリ番(00やゾロ目)に当たりましたら、番号明記の上お気軽にリクどうぞw
コメがありましたらこちらへ。現在お礼は短文3種です。
プロフィール
HN:
なつと
HP:
性別:
女性
自己紹介:
<サイトの説明>
結界師とフェアリー・テイルが好きなヤツが運営してるファンサイトです!!
BL表現とか出てくるんで、苦手な方は回れ右でお願いします。

サイトにリンクして下さる方はすみませんが、indexにて登録をお願いしますv


<管理人について>
大阪の北の方に住んでます。
ヴァイオリンが好きです。
ショパンとドヴォルザークに恋してます。
ラテンな曲が大好きです。
格好いい少年たちが好きです(必須)
カテゴリー
リンク
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
[11/13 DSLR-A850]
[05/03 名無しさん]
[11/01 在り音]
[09/26 名無しさん]
[09/26 名無しさん]
ブログ内検索