『迷信は当てにならないし、その反対もしかり。』
ナツ×ルーシィ
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馬鹿は風邪を引かない。
まぁ元気があるからってコトなんだろうけど、よく聞く迷信。
だから、
コイツが風邪を引くなんて、あたしは思ってもいなかった。
「ナツー入るわよ?」
そうっとドアを開けて、小さな声で言う。
ベッドと机、あと小さな炊事場と洗面所がある質素なワンルームの部屋。
男の子にしては小奇麗部屋のベッドの上に、部屋の主が横たわっていた。
もぞりと毛布が動き、少し赤らんだ顔がこちらを向いた。
「る…しぃ?」
「よし、生きてるわね。…あら、ハッピーは?」
「じっちゃんとこ…」
「入れ違いになっちゃったのか~。酒場に全然顔出さないからみんな心配してさ、あたしが見に来たって訳」
あたしは手に持っていた紙袋を丸いテーブルの上に置くと、ベッドの淵に座った。
毛布と枕を綺麗に整えてやる。
そして赤らんだナツの額をぺたりと触ってみた。
「…ちょっと、随分高熱じゃないの!しんどくない?」
「へへ……だいじょーぶ。さっきまで死にそうだったけど、ルーシィの顔見たら元気になってきた」
そう言ってにかっと笑った。
弱々しかったけど、あたしは頬がちょっと熱くなるのを感じた。
「と、とにかく!二三日まともにご飯食べてないんでしょ?お粥作ってあげるから、台所借りるわね」
紙袋の中を探って、来る時に買ってきたネギと卵を取り出す。
背中の方からお願いしますって言う声がして、振り向いた時には、すでに彼は眠りの世界に足を踏み入れた後だった。
「ナツ?」
「んん~…ぉ……イイニオイ」
「ルーシィちゃん特製のお粥よ」
ナツの背中を支えて、クッションと枕をベッドの背もたれとの間に置く。
彼は心地よさそうにそれにもたれて体を起こした。
ほかほかと湯気の立つお粥をスプーンでかき回し、少し取ってそれに息を吹き掛ける。
十分に冷めたのを確認して口元に運んでやる。
「はい、あーん」
「あー」
かぷりとスプーンを含んで食べる。
「ん、美味い。全部食べれそうだ」
「元気そうね、じゃあ一人で食べる?」
「ヤダ」
「嫌だって…ハイハイ、あたしは病人さんには優しくしますよ」
あたしは大袈裟に溜め息を付いて、同じ動作を繰り返した。
ほっこりと、胸が温かくなるような時間が過ぎていく。
たまにはイイよね、こういう時間も。
「口移しがいいって言ったら怒りますか?」
「怒ります。あとタウロス呼ぶわよ」
「…ゴメンナサイ」
ハッピー早く帰ってこないかなぁ…。
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タイトル長いな、ぉぃ
ナツル(勝手に命名)の風邪ネタ。
彼らの会話はこんな感じだといいな的な。
2008.3.30
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