『fiRst』
ナツ×ルーシィ
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コイツは天然なのか、本気で言ってるのか。
あたしはとりあえずそこから考えることにした。
でも頭の中がぐるぐるしてて、全然まとまらない。
そうしてる間にも、ナツはあたしに近付いてきた。
「なぁ~ルーシィ?」
「なななな何よっ!」
「何度も声かけてんのに、ちっとも返事してくれねぇんだもん」
むすっと。
まるで子どものように。
彼は頬を膨らませて、また一歩近付いた。
「なぁ……聞こえたよな……俺のコトバ」
「…っ」
気が付けば背中には壁。
図っていたかのようにナツは片手を壁につけて、あたしを見た。
綺麗で純粋な黒い瞳。
ちょっと赤い光彩が入ってる、あたしが好きな瞳。
でも今それは全く直視できないようになっていた。
見詰められて、顔がどんどん熱くなる。
「俺…こんな気持ちになるの、初めてなんだ……」
ぽつりと聞こえた小さな声。
その声は普段の騒々しい、元気な彼からは想像出来ないほど弱々しかった。
「最初は、自分の株を上げたいから付いて来たのか、とか…あんまりイイコト思ってなくて」
すうっと息を吸う音が聞こえて。
あたしの頭に手が回り、気が付けばナツの胸に抱き締められていた。
しっかりとした、どんな敵をも吹っ飛ばす、しなやかな筋肉。
ドクドクと早く打つ心音が響く胸板。
普通のそれより少し高い体温。
あたしは目をつぶって、ナツを見上げた。
「…最初」
「え?」
あたしの唐突な言葉に、ナツは疑問符を付けた。
「初めてだからね、ナツが」
男の子にあたしの唇をあげるのは。
少しの間。
ぎゅっと筋肉が動いて苦しくなったかと思うと、温かい、幸せなぬくもりが触れてきた。
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ルーシィ視点って物凄い書きやすい!
2008.4.10
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